監獄レイプ






北にあるこの場所は、重罪を犯したものを収容する場所として監獄の中でも一際有名だ。

ほとんどが終身といった刑罰を持つ者の中にあって、ゾロがここに来たのは単に本人の気紛れだった。

脱獄など、実のところいつだって出来る。
生温い外で、不意に自分の力を試したくなり、人助けついでに軍に喧嘩を売った。










追われる日々はそれなりな満足感を与え、けれどそれにもじきに飽いた。
手配書の金額はどんどん大きくなったが、相手の戦力は一向に大きくならず、自分が始めたこととはいえ、少々鬱陶しくなり、飽いて、ならばと捕まってみたのだ。




厳しいとは聞いていた極寒の地。
俗世から隔離された、一種独特の空気とルール。
新入りのゾロに絡んでくる者もいたが、丁重に相手をしてやった翌日には大人しくなった。

早々にゾロが起こした騒ぎを知らないわけでもあるまいに、一言も口をきかない看守。
檻一つにつき、看守が一人ついているのだが、ゾロ付きのその男は長い鼻と癖の強い黒髪を持っていた。
人並みはずれていい耳が、同僚に呼ばれた男の名前を捉え、ゾロは看守がウソップという名前だと知っていた。
正義感が強いのか、軍に命を捧げてでもいるのか、ウソップのゾロを見る目は冷たいものだ。
犯罪者なのだから当然なのかもしれないが、あからさまに蔑んだ目で見られるのは、悪くない。
ギリギリの淵にいる。こんな気分は外では味わえなかったものだ。

鉄の格子を間に、ゾロの手の届かない位置にウソップは直立し、毎日ゾロを監視している。
模範囚なら少々の自由は許される。もちろん厳しい規則はあるが。
入所時にそう聞かされていたが、初日から事件を起こしたゾロにその小さな自由は当然ない。
ないままにはや一月になるが、最初の日から変わらず、決まった就寝時間以外は必ずウソップが付いている。




檻の中ででも出来る運動で体を鍛えながら、ゾロはウソップを見るようになった。
冷たい視線を心地よく受け止めながら、自分の中に溜まっていくのはどうやってこの男の表情を変えてやろうかという思い。




厚い唇が艶やかに赤く濡れ、丸い大きな瞳から涙が零れる様を思い浮かべる。

細い体を組み敷き、侵されたことなどないだろう後孔を蹂躙する。

ちゃんと聞いたことのない声がどんな音を奏でるのか。その想像は、殊のほか興奮するものだった。




だがそう考えてみても、物理的な距離が阻む。
ゾロにとってはまるでちゃちな鉄鍵など握力で鍵を壊せないわけではなかったが、まだもう少し楽しみたい。

そこでゾロは、手始めに左手で鉄格子を掴み、ウソップに見せつける自慰をした。

視線はウソップから外さないまま、右手で怒張したものを扱く。

格子越しに前に立ちペニスを取り出した時、ウソップは一瞬目を見開いたが、ゾロの視線に気づくと挑むように睨み付けてきた。



その視線がゾロの熱を一気に煽る。


荒い吐息にびくりと怯む。


困惑と羞恥、引き攣る頬を必死に隠し逸らしたいだろう視線を負けじとゾロに置いている。


目を細め、僅かな反応も見逃さないよう観察する。


揺れて泣きそうに潤む瞳や紅潮する頬は、視姦するに十分な見物だった。
寒い房の中にあって、緊張のためしっとりと汗を掻き始めた肌に視線を這わせる。
滑らかな首筋は食いつきたい魅力を放った。
人を呼ぶべきか迷っているのか、ひくりと喉をひくつかせたが、結局ウソップは一言も上げず、射精したゾロの白濁が靴の先を濡らしてようやく、はっとしたように体を動かした。

スイッチが入ったように、あるいは呪縛が解けたように。
手の甲で口元を覆い、ゾロに何か言いかけたが、やはり一言も発さずに逃げるように外に出て行った。



やがて掃除担当の囚人が来て、汚れた床を拭いていった。
なんの汚れかは明白のそれを、黙々と始末していく。
興味はあるが尋ねるほどの度胸のない男の、ちらちらと寄越される視線は露ほどもゾロの興味を引かない。
小うるさいそれを完全に無視して、ゾロは固いベッドに横たわった。


ウソップは何と報告したのか。どんな顔で、どんな声で……。

こんなことをされたウソップは担当を外れるかもしれない、とは思わなかった。

戻らなければそれはそれだが、恐らくそんなことにはならない。
変えると言われても突っ撥ねるだろう。あれはそういう人間だ。
次に顔を合わせる時を思い、ゾロはにやりと笑みを浮かべた。





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